![縫い目の魅力](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2022/04/24cf6850c887b83f26a77a32d07e2cc9.jpg?resize=600%2C400&ssl=1)
こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
今回のLeather Tips!は縫製について。
革製品に限った話ではないのですが、世の中の縫製された製品は
手縫いにしろ、ミシンにしろ、どこかで「人の手」が入って作られています。
人の手が入る以上、「技術」の研鑽は必須。
美しい縫い目は不思議と人の目を惹き付けますが
そこには熟練した職人の技があるからだと、僕は思います。
このブログではそんな「手縫い」と「ミシン縫製」の縫い目がどうやって出来ているのか
構造的な違いについて、ご紹介していきたいと思います。
Leather Tipsとは・・・
Tips = もともとIT用語で、ヒント、小ネタ、秘訣、などの意味
Leather Tips! では革についてのちょっと面白い知識をご紹介していきます。
実際に縫製している作業風景はこちらの記事で・・・▼
![](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2021/08/fb8870748e3cdc672d5b5c7c8e41f0bf.png?resize=32%2C37&ssl=1)
目次
「手縫い」と「ミシン縫い」の違いについて
手縫いとミシン縫いの大きな違い、それは「糸の通り方」にあります。
「手縫いもミシンも、縫ってあれば一緒じゃないの?」という方もきっと少なくないはず。
確かに、結果としては同じなのですが
実は縫製する際の「糸の通り方」が全然違います。
それぞれを図解しながら説明していきますね。
手縫いの糸の通り方
![](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2022/03/3529f7952e976697d48c175c29d1963c.jpg?resize=771%2C433&ssl=1)
この図の様に、手縫いは一本の糸で、両側から交差させる様に針を通して縫製していきます。
当然、手作業なので正しい方向、正しい順番で針と糸を通さなければ綺麗に仕上がりません。
手縫いのメリットとデメリットについて
![プルーニャ オーダー](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2022/03/UNADJUSTEDNONRAW_thumb_7787.jpg?resize=768%2C512&ssl=1)
・メリット
手縫いを極める、と言うとちょっと大げさなのですが
ある程度の域まで上達すればかなり綺麗なステッチ(縫い目)を表現することができます。
また、複雑な構造で様々な技法があり、機械では縫えない様な部分まで、技術力があればかなり応用が利きます。
使用する道具もシンプルなものが多いため比較的簡単に始めることができるのも魅力的ですね。
・デメリット
一目一目を自らの手によって縫い進めることとなりますので、当然多大な製作時間がかかってしまします。
趣味で製作する分には問題ないですが、
仕事として考えると「なぜ手縫いなのか」をしっかり考える必要があります。
ミシン縫いの糸の通り方
![ブログ 革の縫製 ミシン](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2022/04/7d957d0761e3004ec464ba1cda2d2392.jpg?resize=771%2C433&ssl=1)
この図でも分かるように、ミシンの縫製は上糸・下糸、2本の糸で縫い進めていきます。
それぞれの糸調子(張り具合、テンション)を均等に調節し、
どちらかに突っ張ることがないようにしながら縫製をかけていきます。
ミシン縫いのメリットとデメリットについて
![タンニン鞣し革 プエブロ](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2022/01/UNADJUSTEDNONRAW_thumb_6fdc.jpg?resize=768%2C512&ssl=1)
・メリット
ミシンのメリットといえば、まずは圧倒的な縫製速度。
一度走り出してしまえば一気に駆け抜けることができるため、コストの削減にもつながります。
また、ミシンは正しく正確に同じ動作を繰り返しますので、人の手が間違えない限り
美しく均一なステッチが入ります。
・デメリット
意外と小回りが利きづらいというか、「短い距離を少量」の場合は手縫いの方が早いこともあります。
なぜなら、縫製対象の厚みや質感に応じて、ミシンの調節が必要になるからです。
糸の番手、針や押さえ金具の変更、糸調子や吊り定規の調節などなど
実は縫製前にやることがたくさんあるのです。
それぞれの特徴・まとめ
手縫い | ミシン | |
---|---|---|
縫製速度 | ×遅い | ◎早い |
表現の自由度 | ◎どこでも縫える | △一部制限あり |
メンテナンス | ○不要 | △必要 |
導入コスト | ○低い | ×高い |
縫製コスト | ×高い | ○「比較的」低い |
縫い目を「表現」することとは?
手縫いもミシン縫いも、それぞれ使う道具や部品、糸を変えることで
縫い目の表現を変えることができます。
ここではコバルトレザーワークス が独自の目線での考え方をご紹介します。
糸の太さ・素材
![AuChinois](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2019/01/IMG_3767.jpg?resize=768%2C512&ssl=1)
見た目的にも分かりやすい「糸の太さ」。
太い糸は重厚で、細い糸は繊細な縫い目を表現できます。
ミシンの場合はポリエステル系の糸となってしまいますが、
手縫いの場合はリネン(麻)糸も使用することができるので質感の違いも楽しむことも。
縫い目の幅
![目打ち ピッチ](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2022/04/UNADJUSTEDNONRAW_thumb_76d4.jpg?resize=768%2C512&ssl=1)
縫い目で重要な要素を持っているのが、実はピッチ(縫い目の幅)です。
細かい縫い目は繊細ですが、その分手間もかかり比例して難易度も上がります。
ただその分、仕上がりは上質で見た目にも美しい縫い目になります。
ただ、一概に細かい縫い目が良いのかと問われるとそうでもなく
ワイルドな作風や、アウトドア系の製品ではあえて荒っぽくワイルドなピッチで縫うこともあるので
適宜表現方法を変える、というのが正解だと思います。
縫い目の角度
![縫い目 角度](https://i0.wp.com/www.cobalt-lw.jp/wp-content/uploads/2022/04/UNADJUSTEDNONRAW_thumb_76ee.jpg?resize=768%2C512&ssl=1)
僕個人の好みでもあるのですが、斜めにキュッと締まった縫い目が好きです。
そのため、手縫いもミシン縫いも、どちらもそういった表現ができるように
目打ちや針の種類を選んでいます。
手縫いは「斜めステッチが定番」という印象もありますが
あえて直線的なステッチにする、などの選択肢もあるのが楽しいですね。
あとがき
さて、本日のLeather Tips!はここまで。
ここだけでは語りつくせないような「縫い目」の魅力と、職人がそこにかけるこだわりについて
少しでも伝わりましたら幸いです。
どうやってこういった縫い目が出来上がるのか、
その作業風景について気になる方はこちらのブログもどうぞ!
そんなこんなで本日も製作している革製品はこちらからオーダーいただけます・・・▼
それでは、今週もどうぞ宜しくお願い致します!
コメントを投稿するにはログインしてください。