いまさら聴けない?革モノ用語集(初級編)

用語集

こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。

本日のブログはLeather Tips の更新です!

Leather Tipsとは・・・
Tips = もともとIT用語で、ヒント、小ネタ、秘訣、などの意味
Leather Tips! では革についてのちょっと面白い知識をご紹介していきます。

革小物が好きになるきっかけは色々あると思うのですが
この世界に入り込むと、それだけ革の知識や言葉についても必要になってくることがしばしば。
特に同好の志を見つけた時に共通言語があると話が盛り上がりますよね!

ここでは初級編として、比較的良く触れる言葉と、その意味などについて
僕の主観も交えながらお話できればと思います。

革についての用語集

プエブロ ペトロリオ

・かわ【皮】または【革】

【皮】は主に原皮のような生皮を指すときに使われます。
【革】は素材として鞣された革や、それらを加工して作られた製品に使われる言葉。

ただ、昔はそこまで厳密ではなく、表記に揺れがあることもしばしば。
後述する漉きを専門で行う業者は「皮漉き」としている場合が多いです。

・なめし【鞣し】

生皮をクロムやタンニンを使用して加工して、素材としての「革」を作る工程の事。
この作業を専門で行う業者を「タンナー」と呼びます。

この【鞣し】こそ、革の個性が生まれる瞬間と言ってもいいかもしれません。

「タンナーごとに鞣しの工程や、使用するレシピが違う」と言われるほどに奥が深い技術で
ヨーロッパでは門外不出・一子相伝、なんて話も珍しくないそうです。
なんだかロマンがありますよね。

ピット層

・たんにん【タンニン】

鞣しの際に使われる代表的な成分で、天然の樹木から採取される渋のこと。
原料となる植物を細かく粉砕し、水に浸けることで抽出される成分で
ミモザやチェスナット、ケブラチョといった木から採取することができます。

この成分で鞣された革はナチュラルな風合いと、経年で変化する表情が特徴的です。

・くろむ【クロム】

鉱物を由来とする、もう一つの代表的な鞣しの成分。
過去には燃焼の際に毒性が発生する6価クロムが使用されていたこともあるますが
現在は自然界にも存在し、小さい3価クロムが使用されています。

この成分で鞣された革は柔軟で堅牢、水にも強く、経年で変化しないのが特徴です。

タンニン鞣しと、クロムなめしの違いについて、詳細に書いたブログはこちら▼

経年変化

革の経年変化について|2種類の鞣しと、変化の違い

・ぎんめん【銀面】

鞣された革の表面のことを指します。
由来としては諸説あるのですが、タンニン鞣しによる表面の光沢が銀のように輝いていたから、とか
海外から日本に鞣しの技術が入ってきた際、革の表のことを英語で「grain(グレイン)」という響きが訛って
「グレイン面」→「ギン面」になった、とか。

銀面を加工せずしっかり残した革のことを、「銀付き革」なんて呼ぶこともあります。

・とこめん【床面】とこがわ【床革】

鞣された革の裏面のことを指します。
革はいくつかの層によって構成され、繊維のゆるい網状層などが主に「床」と呼ばれる部分に当たります。

革を薄くスライスした際に出る端材(乳頭層〜網状層)を【床革】と呼びます。
【床革】は製品を作るには強度や品質的にも難しいですが、芯材としては非常に優秀な素材です。

・ぬばっく【ヌバック】

鞣された革の「銀面側」をバフ加工などで起毛させた革のこと。
マットな質感で高級感があります。
銀面を起毛させたものなので、毛足が短めで、経年変化で馴染みやすいのが特徴です。

この工程のことを「銀磨り」と呼び、大きな括りでは当店で使用しているプエブロも
この分類に入ります。

・すえーど【スエード】

鞣された革の「床面側」をバフ加工などで起毛させた革のこと。
銀面にほど近い乳頭層を使用することが多く、毛足はヌバックと比較すると少し長め。

インナーに使用することで製品の高級感やクオリティを底上げしてくれます。

また、さらに毛足が長いものを「ベロア」と呼びます。

革の部位などについて細かく書いたブログはこちら▼

革の分割と名称

革の分割と名称について|部位によって異なる革の性質

製作・技術についての用語集

手縫い

・すき【漉き】

革を薄くスライスすることで厚みを調整すること。
上質な革製品を製作する上で必須の技術です。

専用の機械で「皮漉き機」というものを使用する他、手作業による「手漉き」もあります。

製作時、パーツによって微妙に厚みを調整しバランスを整えています。

・てぬい【手縫い】

読んで字のごとく、手作業による縫製技術のことで
初心者でも始めやすい基礎中の基礎。

基礎故に奥が深く、柔軟で、様々な技法があるため
極めるには修練が必要です。

派生して、「駒合わせ縫い」「拝み合わせ縫い」「掬い縫い」「クロスステッチ」などなど。
縫製箇所に合わせて使い分けます。

縫製について、細かく書いたブログはこちら▼

縫い目の魅力

「縫い目」の魅力|手縫いとミシンの違いと特性

・こば【コバ】

革の切れっぱなしの端のこと。「切り目」と呼ぶことも。
また、漢字で「木端」と表記することもあり、
その由来の通り木材の断面のような表情が特徴的です。

切り目の仕上げ作業を「コバ磨き」と呼び、数多のレザークラフターを虜にしていますが
様々な手法があり、布海苔やワックスなどで磨き上げたり、顔料を乗せて磨き上げたり
製作者の個性が出るポイントでもあります。

カードケース カサネ

・へりかえし【ヘリ返し】

切りっぱなしのコバとは対照的に、薄く漉いた革を折り返し、切り目が端にでないような仕上げ。
クロムレザーの製品でよく見られ、上品な見た目が特徴的です。

・ねんひき【捻引き】

これもコバ処理の一つ。
特殊な工具を使用して、コバに熱と圧力を加えることで繊維の引き締め効果が得られ
耐久性が上がります。

また、装飾的な意味合いでも、繊細なラインが入り美しい仕上げとなります。

あとがき

いかがでしょうか?
知っていた言葉、知らなかった言葉、興味深い由来、などなど
少しでも話のネタになりましたら幸いです!

また、こちらの記事は随時更新していこうかな、と思っておりますので、時々覗きに来てくれると嬉しいです。

ではでは、本日はこの辺で・・・

今週もどうぞよろしくお願いいたします!

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