工房作業風景|革を縫う

ステッチ(縫い目)

こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。


今日は工房の作業風景をお届け。
製作には欠かせない、「革を縫う」シーンに注目してブログを書いていきますね。

実際に製品が出来上がるまでの雰囲気を、視覚的にも楽しんでいただけたら幸いです。

漉き機

工房作業風景|革を漉く

手縫いの作業風景

手縫い

「手縫い」と言う技法は読んで字のごとく、自らの手で縫い進めることを指します。
ただ革を縫うわけですから当然、生地の様に針と糸だけあれば縫える・・・といったものではありません。

様々な道具と、専門的な技法があって初めて「革の手縫い」が成り立ちます。

とは言っても、ミシンと比べれば比較的低予算でも始めることができますし
やり方自体はとてもシンプル。

それでは早速始めていきましょう!

手縫いに使用する道具について

革の手縫い道具

・手縫い針
・手縫い糸
・目打ち
・打ち具
・ネジ捻など、幅を調節できるデバイダー
・菱錐(千枚通し、オウル)
・糸切りハサミ

僕が手縫いに最低限使用している道具です。
(「縫う」と言う作業のみ)

代用が効くものもありますが、一通り揃えておくと作業効率も上がります。

手縫いは時間がかなりかかるのでその分製作コストにも反映されがちなので
「正確に」「丁寧に」はもちろんのこと、「効率的に」縫い進めることが重要。
それにはやはり手入れが行き届き、馴染みのある道具が一番だと思います。

ガイド・目打ち

革はそのままでは針が通らないので、下準備として
針を通す場所をマーキングをしてあげることが必要です。

使用するのがこの「目打ち」と呼ばれる道具とそのガイドラインを引くための「ネジ捻」

捻引き

目打ちによるマーキングは、ただなんとなく打っていると縫い目が歪みますので、
まずはネジ捻などを使用して「目打ちを打つためのガイドライン」を引いてあげます。

ガイドに沿って、目打ちを打ち付けることで
まっすぐに、等間隔で縫い目のマーキングが出来上がります。

クージュセリエ(サドルステッチ)による縫製

クージュセリエ 手縫い

縫製には針と糸、そして菱錐を使用します。

前述した道具一覧には入れてなかったのですが
まずは「ステッチングポニー」と言う道具に縫い合わせたい革パーツを挟み込み
縫いやすい角度と位置で固定します。

穴あけ

先ほどマーキングした目打ちを目安にして、菱錐で縫い穴を作り・・・

縫製

その穴の中で交差する様に両側から糸を通して縫い進めます。
これで一目縫いあがり。

この作業を延々と繰り返すことで美しいステッチのラインが生まれます。

手縫い ステッチライン

クージュセリエ(サドルステッチ)とは

「クージュセリエ」とは古来から伝わる手縫いの技法の呼称。
元々は馬具を製作する際に用いられた技術で、この様な呼び方が広まったようです。

フランス語で
cousu(クージュ)=縫う(ステッチ)
sellier(セリエ)=馬具(サドル)

直訳するとこんな感じの意味なので、分かりやすいですね。
ちなみに、ヨーロッパのハイブランドではsellierは「外縫い」のことを指し
ステッチが全面に出る手縫いの技法で作られたもの・・・といった意味合いを持つそうです。

ミシン縫いの作業風景

総合送りミシン

革用のミシンは色々ありますが、「工業用腕ミシン」と呼ばれるものが一般的です。

筒状の腕の様なものが本体から伸びており、袋状のものなど、様々なシーンで対応しつつ、
分厚い生地を貫通させるだけの馬力のあるパワフルなミシンです。

ミシンの設定、ガイド

ミシンの縫製も、そのままでは綺麗に縫うことができないので縫製前には必ずセッティングを行います。

・糸の交換
・押さえ金具の交換
・上糸の張りの確認
・釣り定規の調節
・試し縫い

厚みによっては糸の張り具合を繊細に調整したり
縫う箇所によっては押さえ金具の交換をする必要があります。

何度も製作しているものであればすぐにセットできますが、始めての製作には試し縫いは欠かせません。

吊り定規

まっすぐ縫うために、ミシンには吊り定規と呼ばれるガイドが付属しています。
これも縫い合わせるシーンに応じて調節したり、パーツを交換したり・・・。

また、場所によっては定規が使えない部分もあるため
そう言った場合は先端を加工した丸錐などを使用してあらかじめ線を引き、そこを慎重に縫い進めます。

縫製|準備が7割

正確に、きっちりと決められた動きをしてくれるミシンは
一度走り出してからのスピードがミシンの一番の強み
そのためにも、縫製までの準備がかなり重要です。

しっかりとした貼り合わせや、正確なセッティングなどなど。

逆に言ってしまうと、ほんの少しの距離を1回だけ縫うのであれば
実は手縫いの方が早かったりするシーンもあります。

仕上げ磨き

あとがき

本日は「縫う」ことに焦点を当ててお送りしてみましたがいかがでしたでしょうか?

お手元の革製品にもついている、普段何気なく目にしている「縫い目」は
実はこんな作業によって仕上がっているのです。

縫製の構造や理論的な部分については
後日Leather Tips!にて詳しくお伝えしたいと思います!

ではでは、本日はこの辺で・・・
今週もどうぞよろしくお願いいたします!!

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