Cobalt Leather Worksの手仕事|コバ磨き編

突然ですが、コバって何でしょう?
レザークラフトの記事を書いているのでコバヤシさんの愛称でではないことは確かですね。面白くないですね。

この記事ではクラフターが愛してやまない(?)コバ磨きのやりかたについて、あくまでも一例としてご紹介したいと思います。

コバとは

カードケース kasane 側面
cardcase “kasane”   cobalt leather worksの代表的な作品です。

ズバリ、革の断面の部分のコト。

断面とはいえ、様々な処理の方法があり、処理しないでワイルドな風合いを売りにしているブランドもあるくらいで、この処理方法がブランドのコンセプトに繋がっていると言っても過言ではない、と僕は考えています。

ちなみに、レザークラフト仲間で飲み会をやるとコバトークで軽く1〜2時間は飲めます。

加工の種類について

処理方法は多岐にわたりますが、代表的なものは簡単に言うと

  • 顔料によるコーティングをしながら磨く方法
  • コーティング剤を使用せず、磨き上げる方法
  • ヘリ返しをして革の断面を見せない方法
  • 切りっぱなしの風合いを生かして何もしない

などなど、この他にも様々な処理方法があります。
もちろん、革の応じて適材適所、しっかりとした処理を施すのが職人の腕の見せ所。

Cobalt Leather Worksでは「経年変化」をデザインの一部とみなしていることから、そのコンセプトに基づいた素材を選定しており
その良さを一番引き出すことができる「コーティング剤を使用せずに磨き上げる方法」を主に採用しております。

実際に磨いてみた。

コバ面

それでは、ちょっと端切れがあったので磨いていきましょう。

まず、こちらが普通に裁断した断面です。

切りっぱなし
こうしてみると革の繊維がギュッと締まっているのがよくわかります。

まずは角ばった縁(「ヘリ」と言います)を切り落としていきます。
この際、「ヘリ落とし」という道具を使用します。

ヘリ落とし
メンテナンスをしっかりしておくとスルスルと切れて気持ちがいいです

この断面でも十分綺麗なんですが、今日はカッチリ仕上げたいので染料を挿していきましょう。

染料青
手につくとなかなか落とせないので注意!(僕の親指の付け根についてますが・・・)

染料は手につくと厄介なので、必ず綿棒などを使用してコバ面に塗布していきます。

染料にはもちろん水分が入っていますので、塗布した状態で一旦磨きます。
この際、磨く道具は主にスリッカーを使用しますが、もちろんそれには理由があります。が、脱線するので、それはまた後日書くことにしてとりあえず磨いていきましょう!

ちなみに、染料を使用しない場合は水で磨きをかけます。
水分で一度繊維をほぐして研磨することで強度を上げるイメージですね。

染料入れ磨き
染料を入れると線がグッと引き締まります。

これだけでも光沢が出てきました。
繊維の詰まった質の良い革だともうこれだけでもいい具合になります。

ここからは磨きもそうなんですが、耐久性を上げる意味での磨きをかけていきます。

まず、縁捻を引いてコバ面を熱と圧で締めていきます。

捻引き
おおよそ革包丁と同じ要領ですが、綺麗に引くにはコツが必要です。

上から圧力をかけるとどうなるかと言うと、当然横に繊維が逃げます。
その分、コバ面が若干荒れてしまうので再研磨をかけます。

再研磨
もう結構ツルッツルですがまだいきます。

1000番手くらいのペーパーでサッとみがいたら、今度はミツロウを挿していきます。

コテ
アルコールランプでじんわり温めてからロウを溶かします。
ロウ入れ磨き
ちょっと暗いですが、、、ロウを入れて磨きます。

ロウを入れた後は柔らかめの帆布を使用して磨きます。
もちろん、帆布を使用するのにも意味があります。

で、ここで終わってもいいのですが、最後の仕上げをします。

これを使いたいと思います。。

パラフィン
怪しい白い塊が・・・

これは、パラフィンといって、いわゆるロウソクの素ですね。

これでコバを軽く研磨して、最後に帆布で拭き磨きをかけて完成です。

コバ完成
職人により、十人十色。いろんな想いや技が詰まっています。

いかがでしたでしょうか?

時間のかかる作業ですし、染料の塗布や捻引きをしくじるとこれまでの製作が水の泡となってしまいますので、かなりの根気と集中力を要します。

正直、あんまりやりたくない、と言うクラフターの方も少なくないかもしれません。

でも、こう言った作業の奥深さを知ることで
革製品の細部一つをとっても、作り手の気持ちのこもった作業が見えてくるのではないでしょうか?

お店で革製品を見るときは、そんな作り手のことを少しでも考えていただけるだけで、職人冥利に尽きるってもんだと、僕は思うのです。

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