日々の暮らしと、経年「変化」|普段使いの革小物

経年変化 革小物

こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
今日は僕の普段使いしている革小物や鞄をご紹介しながら、経年変化についてのお話を。

経年変化の基礎知識的な部分から入りますので、様子だけ見たい方はすっ飛ばしてもOKです。

経年変化と経年劣化の違い

革製品を扱っていると、「経年変化」「経年劣化」という言葉をよく目にします。
この二つの意味、どう思いますか?

「劣化」とは品質や機能の低下といった、性能に関わる言葉。
一方で「変化」という言葉は素材の変質を表しています。

が、よく入り混じって紹介されている文章を目にします。
ではなぜ、革製品にこの二つが混同されて使われているのでしょうか?

あくまでも僕の主観ですが
・合成皮革と天然皮革の違いを正しく把握していない(素材の混同)
・革の性質変化への理解と、素材自体への馴染みの薄さ(素材の性質理解)

この二つの理由があると思います。

合成皮革と天然皮革の大きな違い

先に結論から述べますと、合成皮革は「劣化」し、「消耗」していきます。

違いは、人工的に作られた生地か、生命からいただいた自然由来の素材かということなのですが
その性能について、僕が最も違いを感じるところは「耐久性」です。

ポリウレタンは水に強い?

ほとんどの種類の合成皮革に使用されるポリウレタンは
水を弾き、汚れにも強いように感じますが、一方で「分解」という大きな弱点があります。

いわゆる「加水分解」という反応で、ざっくり説明すると
ポリウレタンと水分が結びつき、繊維をバラバラにしてしまう現象のことです。

水分とは決して雨などの水滴に限らず、空気中の湿気も当然含みますので、
極端な話、保管方法が悪いだけでも長期間になればボロボロと崩れていきます。
この「分解」こそが「劣化」と表現される所以ではないかと考えています。

内装剥がれ

意外と使われている合成皮革

低コストでそこそこのパフォーマンスを持っている素材なので、実はブランド物の裏地などによく使用されています。
よく見かけるのが、裏がボロボロになってしまったブランド物のお財布。
これを修理するとなるとかなり骨が折れます。(僕はやりたくないです。笑)

革の性質の変化への理解不足と、馴染みの薄さ

経年変化

革は経年変化するもの、と思われがちですが
実は革も経年変化「する」ものと「しない(厳密にはしますが)」ものが存在します。
それは原皮と呼ばれる生皮から、素材としての革への「鞣し」とよばれる加工の工程で決まりますが
大まかに考えて経年変化する革は植物由来の「タンニン」を使用して鞣された革と考えてOKです。

ちなみに変化しない(しにくい)鞣しは鉱物由来のクロム鞣し。
柔らかく、ある程度の水気にも強いのが特徴で、衣服などによく使用されます。

なんでも経年変化する!ということでもないのです。

なぜ植物由来の鞣しは経年変化するのか

イチョウ

実はすごくシンプルな話なのですが、
植物にはタンニン(渋)と呼ばれる成分を含んでおり、
紫外線に触れたり、空気中の酸素に触れることで酸化して変色していきます。

樹木についた葉っぱは緑色ですが、それが枯れ落ちるときは茶色になってますよね。
原理で言えば、それと一緒です。

この成分を使って革を作るので、当然その性質が受け継がれるわけですね。

ただし、タンナーごとの鞣しのレシピは異なり、どんな植物のタンニンを使用するか、オイルの成分や配合比率などなどによってその経年変化の様子は異なります。
一介の作り手である僕なんぞには計り知れない深い歴史と文化が、そこにはあるのです。

もともと、日本は島国で牧畜などよりも農耕、漁業を主としてきたこともあり
革を使用するという文化が欧州と比べると馴染みが薄いように感じます。

それ故か、革製品=高級品となってしまい、触れる機会も減ってしまうのですが
実は海外だとあっさり日用品として使われていることがあるので驚きです。

ハエたたき

こちら、ドイツで見かけた革製のハエたたき。
え、革で作る?っていう感じなのですが、これくらい身近な素材だったりするのです。

植物由来ならではの、自然な美しさ

ダークブラウン変化

樹木や草花が自然のままに美しくあるように、革も、経年変化という形でその性質を受け継いでいます。
使用するごとに深まる色と艶、肌に馴染む触り心地。
いつまでたっても触れていたくなるような存在感は、まさしく「他にはない」、素材としての特徴です。

そんな革だからこそ、普段使いで、どんどん経年変化させて欲しい。
作り手としてはそんな思いがあります。

ということで僕が実際に使用している革小物たちをご紹介していきます。
経年変化の目安としてご覧くださいませ!

私物公開|普段使いの革小物

リングプランナー(ビブロス) バイブルサイズ

使用カラー:ペトロリオ・ダークブラウン
経過:1年半(くらい)

ペトロリオは深い青緑に、ダークブラウンは艶が強くでてより濃いこげ茶色に変化しています。
光の反射具合からも質感の変化も伺えますね。

1st Anniv. シリーズ ミドルウォレット(メーディオ)

使用カラー:ターコイズ
経過:3ヶ月
※サンプルのためステッチが茶色です

表層の白いワックスが溶け始め、奥に眠る深い青が顔を出し始めました。
マットな質感はまだ残っていますが、少しずつ艶が出てきたようにも感じます。

メーディオ 1st Anniv.

ポケットに入れて使用しているのですが、当たり方にも特徴が出てきていて面白い表情に育っています。
まだまだ育ちそうなので行く末が楽しみですね!

1st Anniv. シリーズ キーホルダー(ナーヴェ )

使用カラー:ターコイズ
経過:1ヶ月
※別個体なのでシボの感じがまるで違います

シボの違いはあれど、こちらも表面のワックスが少し溶けて青が深まっています。
お財布よりも使用頻度が高いので経年変化も早いですね。

革だけでなく、真鍮も楽しめるのがこのモデルの良いところ。
ボタンが燻んできていい感じです。

ペンシース(ウーノ)

使用カラー:ペトロリオ ダークブラウン
経過:8ヶ月

このカーブのコバ部分、意味もなく触り続けてたらさらに艶が出てきました。
一度触っていただければわかるのですが、ここ病み付きになるんですよね・・・。

ペンシース uno

こちらもサンプルなのでフラップの形状が特殊ですが、ここもいい感じにあたりが出てきてますね。

ショルダーバッグ(ヴァガーレ)S レザーエディション

使用カラー:ブラック ダークブラウン
経過:7ヶ月

こちらはミネルバボックスという革を使用しています。
もともと艶のある美しい革なのですが、さらに馴染み、艶と色濃さを増してきたように感じます。
特に黒は色味の変化はないものの、少し柔らかく、部分的に艶がついてきて面白い表情に。

角のあたりは特に出やすいので積極的に触ってます。笑
ショルダーベルトまでフルイタリアンレザー なので、ここも変化が楽しめます。
ちなみに、僕、ベルトパーツ大好きです。

あとがき

さてさて、今回もちょっと長めになってしまいましたね。
革のことを書いてるとついつい長くなってしまうのですが、少しでもお役に立てたなら何よりです。

長く使いながら、日々の暮らしの中で経年変化を楽しむことも
革製品の魅力の一つだと思いますので、ぜひお持ちのレザーアイテムも愛でてやって下さいませ!

お手入れ関連はこちらの記事をご参考に▼

プエブロ レザーケア

プエブロを使い続けた革職人が教えるお手入れ方法

ではでは本日はこの辺で。
また来週、どうぞよろしくお願いいたします!

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