時間を仕立てる。

手縫い

こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
今日のブログはここ最近で製作しながら考えていたことなどなど
少し言語化することで皆さまと共有できたらと思い、記事にしてみました。

ロゴ

「革製品を作っています。」

そうお伝えすると、多くの方は財布や手帳、革小物を思い浮かべるでしょう。
もちろん、それは間違いではありません。

けれど、僕が本当に作りたいものは、「革製品」そのものではないのです。
僕がが仕立てたいのは、出来上がった革製品と共に過ごす「時間」だったのです。

革は、使う人とともに育つ素材。

新品の革は、どこか緊張した表情をしています。

それぞれ個体差はあれど、整った銀面
波打つような色ムラと鮮やかな発色。

それは美しくもありますが、まだ完成ではありません。

例えば財布。
それは使われ始めたその日から、革は少しずつ変わっていきます。

手の温もりを覚え、日差しを浴び、雨の日を過ごし
小さな傷を受け入れながら、ゆっくりと艶を深めていく。

その変化は、同じ革であっても一つとして同じものにはなりません。

過ごしてきた時間が違えば、刻まれる表情も違うからです。

革が育つということは、持ち主の時間が積み重なるということでもあります。

毎日手にするものだからこそ、重ねられる「思い」と「時間」

財布は、一日に何度も手にします。

朝、家を出るとき。
昼食の会計で。
仕事帰りに立ち寄った書店で。
家族との食事のあと。

何気ない仕草の中に、財布はいつもあります。

だからこそ、その一つひとつの場面が革に刻まれます。

ミドルウォレット札入れ

手帳も同じように・・・

新しい目標を書いた日。
嬉しかった出来事を記した夜。
迷いながら何度も書き直したページ。

文字だけではなく、その時の気持ちまで、時間とともに積み重なっていきます。

ビブロス 記入

新品は、完成ではありません。

極論かもしれませんが
僕はモノづくりをする際、新品の状態を完成とは考えていません。

本当の完成は、お客様の手に渡ったその瞬間から始まります。

五年後。

十年後。

さらにその先。

使い方のクセによるアタリや、ちょっとした冒険を乗り越えたキズ。
持ち主とともに過ごした時間が育てる革の色や艶。

そこには、工房では決して作ることのできない美しさがあります。

持ち主だけが育てられる表情。

それこそが、革製品の魅力だと僕は思っています。

僕が工房でできるのは、その時間を受け止めるための「土台」をつくること。

革を選び、一針一針丁寧に縫い、永く使い続けられるよう細部まで仕立てる。
そのすべては、お客様と革が、これから何年、何十年と付き合っていくための準備です。

その先にどんな景色が待っているのかは、僕にはわかりません。

仕事の日も、旅先で過ごす休日も、誰かへの贈り物を手渡す瞬間も、
その革は持ち主のそばで静かに時間を重ねていきます。

だから、キズが付くことも、色が変わることも、僕は劣化だとは思いません。

それは、その人だけの時間が刻まれた証。
新品の美しさは、ほんの始まり。

使い込まれた革だけが持つ深みや温もりこそ、本当の完成なのだと、僕は信じています。

長く使うという豊かさ。

今は、便利なものがあふれる時代。
新しいものは次々と生まれ、壊れれば買い替えることも珍しくありません。
それは悪いことではありません。

けれど、一つのものを手入れしながら長く使うことでしか得られない喜びもあると
日々暮らしていると思うことがあります。

例えば
傷が増えることを残念に思うのではなく、「自分だけの歴史」と感じられること。

例えば
色が変わることを劣化ではなく、「育った証」と思えること。

そんな価値観を、革は教えてくれた。
そんな気がしています。

時間は、人生そのもの。

当たり前のことではありますが、時間は目に見えません。

触れることも、手に取ることも、もちろんできません。

けれど、革はその時間を静かに受け止め、目に見えるかたちへと変えてくれます。

それは、旅先でついた小さな擦り傷かもしれません。

子どもを抱き上げたときについた爪の跡かもしれません。

毎日使い続けたからこそ生まれた、深い艶かもしれません。

僕はそれらがどれも、新品にはない、美しさというか・・・
なにか「尊い」物のように感じてならないのです。

プエブロ レザーケア

cobalt leather works は、時間を仕立てています。

一針一針、丁寧に縫うこと。

革の表情を見極めながら仕立てること。

永く使えるよう、細部まで手を抜かないこと。

そのすべては、お客様がこれから過ごす時間を受け止めるため。

cobalt leather works のモノづくりは、革製品を完成させているのではありません。

その先にある人生が、ゆっくりと完成させてくれると信じています。

だから今日も、一つひとつの革製品に想いを込めて。

あなたのこれからの時間を仕立てていきたい、そう思っています。

ロゴ

ではでは本日はこの辺で・・・。

毎日工房に篭って仕事しているので
こうして思考を出力するとスッキリして良いものですね。

そんなわけで、今日も物語の始まりになる革製品、作っていきたいと思います。

暑い日が続きますが、どうぞよろしくお願い申し上げます!

▼オンラインストアも暑さに負けず営業中!▼

オンラインストア バナー