作り手目線から感じる、素材としての「革の魅力」

アラスカ 経年変化

ご無沙汰しております、cobalt leather works のクリモトです。
7月はあれこれ製作しているうちにあっという間に過ぎ去り、8月も後半に差し掛かっており
ただただ愕然としている僕ですが、皆様お変わりありませんでしょうか・・・?

製作を優先して進めているのでちょっとブログの更新頻度が(ちょっと?)下がっていますが
温かい目で見守っていただけますと幸いです。
(久々の更新にも関わらず見にきていただきありがとうございます・・・!!)

さてさて本日のブログは
作り手目線から感じる革の魅力について、お伝えしていきたいと思います。

ロゴ

一枚ごとに感じる個性|かつて生きていた証

革は元々は生きていた動物の生皮を「鞣し」という加工を経て素材としての革となります。
(主に食肉用の牛や豚など、副産物として生まれる素材)

そのため、その動物がどのように生きてきたかが革にも現れることがあります。

野生動物に襲われた傷だったり、虫に刺された跡だったり、成長の度合いで硬さ・柔らかさの違いもあります。

生前の傷やトラ模様などは革にとっての「個性」
他の素材にはない魅力の一つだと、僕は思っています。

通常、あまりに深い傷跡は避けて製作しますが時折SNSなどで掲載すると
「この部位が良い!」と言ってくださる方もいるほどに、やはり革の魅力は奥深いと感じるのです。

過去に製作した個性的な表情のお財布をいくつか・・・

ミドルウォレット 傷跡あり

こちらはご指定により外装にワイルドな傷跡を収めたミドルウォレット。
経年変化である程度柔らかい表情になるかと思いますが、唯一無二の個性です。

スモールジップウォレット トラ深め

こちらはトラの深く入っていた部位を使用したスモールジップウォレット。
トラ模様はプエブロにはあまり見られることがなく、時折こうした個性的な模様の入った個体が入荷します。

捉え方によってはとても扱い辛い素材に感じるかもしれませんが
そう言った「個性」こそが、一つ一つの革小物の魅力を底上げしている、とも感じられますね。

ちなみに、キズやトラの入った部位を指定してのオーダーは通常お受けしておりませんが
ごく稀にこうした個体が入荷した際はSNSなどでも掲載することがありますので、お気軽にお声かけください。

当店で使用している素材関連はこちらからもご覧いただけます▼

素材スライド

Materials|使用している素材について

意外と入り込みやすく、深くハマりやすい素材

「革を使った物作り」と聞くとちょっと難しそうだな・・・と感じる方が多いかもしれませんが
クラフト材料を扱っている店舗などでも「レザークラフトコーナー」として確立されているくらいなので
その入り口は実は広く、入り込みやすいもの。

完成度はさておき、一つのモノを作り上げるための道具は

・菱目打ち
・糸
・手縫い針
・糊
・カッターなどの切れるもの

最低限これくらいあればどうにかなります。

道具はピンキリなので詳細は省きますが
過去に当工房で使用している道具類はこちらでご紹介しています▼
(今はもっと増えてます・・・)

仕事道具 オウル

革職人が本気で使う仕事道具|厳選しても20個以上?

ハードルの高さを考えるとするならば
他のクラフト関連の商材と比較して、材料費や道具にかかるコストが高い(これもピンキリですが)ことでしょうか。

実際、僕も一番最初に作った名刺入れは実際に既製品を買った方が安いたのは良い思い出・・・。

はじまりのカードケース

いわゆる「手縫い」と呼ばれる縫製はシンプルでかつ奥深さのある
革工芸の基本の一つ。

そこを起点として、「あれもしたい、これもやりたい」と徐々にやりたいこと、できることが増えると同時に
「あの道具が必要、この機材も必要・・・」となり
いつの間にか引き返せないところまで来てしまう訳です(実体験)

話が少し逸れましたね・・・

一つのモノが出来上がった時の達成感もあるのですが
「革」を使っていることにより作品自体の魅力も引き立ってしまうのが革の素晴らしいところ。

しかしながらその技術の深淵は始めてから10年以上経つ今でも
未だ見て取れる物でもなし。

日々精進あるのみです。

使い込むことで得られる真価

コバルトレザーワークスでは、一つの製品を仕立てた時点ではまだ完成とは考えていません。
コンセプトの一つとして掲げている「アンティークを育てるかのような感覚」
それはお客さまの手に渡り、実際に使われ、経年変化していくことでようやく完成します。

新品の鮮やかな革製品も、もちろん魅力的なのですが
当店で使用している革は、使い込むことでその真価を発揮するからです。

ビブロスの新品と経年変化

経年変化による色の深化、銀面に纏うオイル層の光沢はもちろん
小キズなども、思い出があれば立派な魅力の一つ。

ラウンドジップウォレット 経年変化のツヤ感

見てください、このツヤ感、、、指が写り込む程に光を弾くように変化していくのが
タンニン鞣しの革の最大の魅力かもしれませんね。

ちなみに日々のお手入れはほぼ不要で、強いて言うならば「毎日使うこと」がお手入れかもしれません。

詳しいお手入れ方法はこちらでもまとめていますので是非ご覧くださいませ▼

ケア&エイジング

leather care & aging|レザーケアと経年変化について

しっかり育った革小物は、まさに人生の相棒。
身の回りに一つあると、それだけでなんだか元気が出てきます。

あとがき

素材としての革の魅力、いかがでしたでしょうか?

一つ一つの個性、経年変化による魅力、感じていただけたなら何よりです。
そして久々の更新にも関わらず、ここまで読んでいただき本当にありがとうございます・・・!

今日もバリバリ製作を進めて参る所存ですので、今月も残りわずかですが、どうぞよろしくお願い申し上げます!

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