cobalt leather works の革仕事|革製品ができるまで

仕事部屋

こんにちは。cobalt leather works のクリモトです。
5月1日でおかげさまで1周年を迎え、SNSやブログを通してたくさんの方に接していただける機会が増えてきました。
が、なかなか自己紹介などをする機会もなかったので
今日は僕自身と、僕の仕事の話を記事にしていこうと思います。
ご興味があればお付き合いいただけますと幸いです!

僕自身の話|ものづくりを仕事にするまで

プロフィール画像

まずは僕のお話。簡単な経歴から・・・

栗本 麻央(クリモト マオ)1984年生まれのAB型。
高校の頃に堕落しすぎて1浪、法政大学経済学部を卒業して2008年に株式会社東急ハンズに入社。
思えばこの就職で僕の運命が大きく動いたと言っても過言ではないのかもしれません。

まずは店舗配属だったのですが、まぁ楽しいこと楽しいこと。
クラフトフロアにあった「10,000円で始めるレザークラフトキット!」みたいな、よくあるセット工具を買って趣味から革仕事がスタートしました。

同時に、会社には12年勤続して
売り場スタッフからバイヤー、新商品の開発・開拓、管理部門、役職。色々と経験させていただきました。オールラウンダーとしての経験が、今一人でアレコレできる体質になったのだと思います。

2010年から革に関わり始め、2018年に事業登録。ブランドを立ち上げ、副業申請。2020年に独立して今に至ります。

独立のきっかけ

以前、noteでも書いたことがあるのですが、とても感情的で、衝動的なものでした。

僕がこの世界で生きていける時間はどうしても限られていて
「その中でなにが成し遂げられるだろう」と、悶々とする日々の繰り返し。
お金や、会社のためではなく
自分と、自分に関わってくれる全ての人のために働きたい。という思いが強かったと思います。

そしてその感情を想起させてくれたのが夜明け前の、静かな青い時間。cobalt leather works の由来の一つです。

革を選んだのは、経年変化が好きだったからで
暮らしに寄り添って育つという特殊な性質を持ったその素材に人生を捧げることになろうとは
最初は偶然だったのかもしれませんが、今となっては不思議と必然性を感じます。

cobalt leather works のなりたち

モバイルタイトルロゴ2020 ver.2

僕、クリモトが一人で運営するファクトリーブランド【コバルトレザーワークス】

楔(くさび)には二つの役割があります。
一つは要として、物体を固定する役割。
もう一つは、大きな石材などに打ち込み、砕く役割。

人に寄り添い、繋げる楔。
現状を打破し、打ち砕く楔。

そんな想いを込めたのが、このロゴマークです。

青が僕を導いてくれたように、青が僕に独立という一歩を踏み出す勇気をくれたように
そんなものづくりを、届けていきたい。

小さな小さなブランドですが、そんな事を考えています。

日々の仕事|革製品ができるまで

梱包・発送

それでは実際にどんな感じに仕事をしているのかをご紹介していきます。
今回はブックカバーの製作風景を・・・。
ちょっと画像多めになりますので視覚的に楽しんでいただけますと幸いです。

ベタ漉き|革の厚みを調節する

ベタ漉き

元々の革の厚みって、実は結構まちまちです。
僕が使用しているイタリアンレザーは2mmから3mmくらいのものが多いのですが、例えばお財布を作ると革が5層6層と重なってくるのですが、
3mmのまま作るとそれだけで18mmの厚みになってしまいますよね。(二つ折りだと2倍で36mm)

それはそれで面白いのですが、製品としてどうなのっていうことになってしまいますので、革をスライスして、厚みを整えていきます。

本裁ち|革のパーツを切り出す

裁断

革のパーツを大雑把に切り出すのが「粗裁ち」、パーツを型紙に沿って正しく切り出すのが「本裁ち」です。
漉機による厚み調整や裏処理は、コンマ単位で革が伸びることがあるので必ず漉いた後(裏処理する場合はそれも)に本裁ちをします。

裁断

型紙以外にも単純なパーツは定規を使ってバシバシ進めます。

コバ処理|磨きと捻入れによる補強

コバ処理道具

ヘリ返し(革を内側に折り曲げて接着する方法。断面が端に出ない)をしない革の端部は繊維が露出して、そのままでは耐久性も、見栄えもあまりよろしくありません。
ワイルドな感じにするならそのままでもいいかもですが、僕はきっちり磨いて仕立てたい派です。

まずは「ヘリ落とし」と呼ばれる道具で革の端の角を落として滑らかにします。
その後、軽くヤスリをかけて断面を均一にならします。

その後、コバ処理材(トコノールや布海苔など)で磨きをかけて、仕上げに縁捻で熱処理を加えて繊維を締めていきます。
お財布など、さらに強度が欲しい時はミツロウなどを使用してさらに強度を上げていきます。

磨き後

時間はかかりますが、きっちり処理を施す事で革製品全体のクオリティも底上げできます。

刻印|箔押し

ブックカバーには当店のロゴが入りますので、該当の箇所に押していきます。
オイルレザーへの箔入れは、油分により落ちやすいのが難点なのですが
一度強めに素押ししたあとに、同じ位置に箔を入れるようにして刻印していきます。

ところどころ端折っていますがこれでパーツの下処理が完成です。

パーツ

圧着〜縫製|ミシンや手縫いで縫い合わせる

先ほど揃えた革のパーツを、接着剤を使用して圧着していきます。
正確に、しっかりと圧をかけて接着することが大事で、ズレたり、緩かったりすると後の縫製にも響いてくるので意外と重要な工程です。

ミシン縫製

今回ご紹介しているブックカバーのようにシンプルな構造のものはミシンを使用して製作しています。
かっちりと整然とした縫い目が特徴的ですが、糸調子の調節や、抑えの付け替えなどを考えると、やはり手作業なんだな・・・と実感します。
ポンと投げたら縫い上がる、なんてそんなことはないのです。

表針通し

ちなみに、僕の作る財布はちょっと特殊な構造のものが多く、ミシンで縫えない場合もあり、そう言ったところは手縫いにより仕立てていきます。
一針一針、ゆっくりですが根気強く確実に進めることが大事。

仕上げ磨き|製品の完成まで

縫製後

縫製が上がったら糸処理をして綺麗に磨いて仕上げていきます。工程は先述したものとほぼ同じ。

仕上げ磨き

ブックカバーは長距離ですが、きっちりと磨き上げて、捻を入れていきます。
そうして完成したのがこちらのブックカバー。

ブックカバー

手に触れる機会が多いのでブックカバーと革の相性は抜群。
価格もこなれているのでちょっとしたギフトなどにも喜ばれますね!

あ、ちなみにこちらのブックカバーはオンラインストアで絶賛受注いただけますです(営業)▼

shopバナー

あと、実はですね、これも完全に営業トークなのですが
近々、大阪のレザーセレクトショップ「スナワチ」さまにて、こちらのブックカバーのお取り扱いが開始する予定です。

今まで製作スピードが全然追いつかず店舗への卸はやってなかったのですが、今回納期にお許しをいただき、納品させていただくことに。

受注生産ではなく、その場でご購入いただけます。
数量は少なめで申し訳ないのですが関西方面にお住いの方、何かの折に足を運んでいただけますと幸いです!

あとがき

久々にたくさん文字数書いてしまいました・・・。
ここまで読んでいただきありがとうございます!

独立すると当然、会社の看板がなくなり「僕個人」として各方面に働きかけなければなりません。
会社に帰属することは、同時に会社に守られていたということを実感するのですが、後ろ盾のない心許なさよりも
僕はすこしワクワクしていました。
対会社としての勘定なしで、僕自身と向き合って仕事をしてくれる人たちがいるということが嬉しかったのだと思います。

今、こうしてブログを読んでいただいていることに対しても同じです。
企業としてではなく、僕個人の発信に触れていただける。こんなに喜ばしいことが他にあろうかと。

これからも日々製作と発信を続けていく所存ですので、お付き合いいただけますと幸いです。

どうぞ cobalt leather works を、よろしくお願い申し上げます!