良いモノを作るための、良い道具たち

革の仕事道具 目打ち

こんにちは、cobalt leather works のクリモトです。
今日はいつも仕事で使っている道具たちのご紹介を・・・

以前にも書いたことがあるような気もしなくはないのですが
道具も日々使い込むことで感じることも変わってくるもの・・・かもしれません。

さてさて、革仕事って「使わなくてもできちゃう仕事」が結構あるんですけど
それでも時間の効率やクオリティに特化していくと
治具のような「専用の道具」があるととても便利なのです。

今日はそんな、「ちょっと変わった道具」に焦点を当てていきますね。

でも革仕事の道具・・・と聞くといまいちピンとこないですよね。
例えば革を使ってお財布を作りたい!と思った時、どんな道具を使うと思いますか?

身近な道具だと
革を切るときのカッターナイフとか、ハサミとか・・・
縫わないといけないから針と糸と・・・
と、色んな道具が思い浮かびます。

実際は、プロが使う道具の数はかなり多く
20種類以上の道具を、あれこれ使い分けながら一つの革財布が出来上がります。
さらにその道具を仕立てるための専用の道具が・・・などと考えているとキリがなくなりそうなのでやめますが
それだけ、使うものは多いのです。

今日のブログでは革仕事ならではの道具をちょこっとだけご紹介していけたらな、と思いますので
コバルトレザーワークスの革製品はこんな道具から生み出されている、ということを少しでも感じていただけたら、と。

ではでは〜

ロゴ

縁捻

革の仕事道具 縁捻

トップバッターはこちら、縁撚(フチネン)くんです。
縁捻はコバ処理の一つで、切り目の縁の部分に圧力をかけることで切りっぱなしの断面に強度を持たせます。
正確な圧力・温度でかけられた縁のラインは、見た目にも美しく
装飾的な意味合いとしても非常に優秀。

アルコールランプで熱してから使用しますが、温度は経験上少し触って「アツッ」となるくらい。
革を焦がさず、それでもしっかり熱が入る温度で調整してから使用します。
(熱を入れることで革の繊維が引き締まり、耐久性が向上します)

独特な形状は線を引く時にとても重要で
先端の部分でカーブを引いたり、圧力のかかりやすい部分で直線を引いたりと
扱いが繊細な道具の一つ。

ちなみに見えない部分の話になりますが、革を張り合わせずに一枚で使用する場合は
必ず裏からもしっかり縁捻を入れて耐久性をあげていたりします。

目打ち(ヨーロッパ・菱目)

革の仕事道具 目打ち

お次は各種目打ち。それぞれ刃の形状や本数、間隔が異なりますね。
どういう道具かというと、手縫で針と糸を通すための目印を打つための道具。
革に対してやや強く打ち込み、場合によっては貫通させたり
軽く打ち込んで目印にしたりと、色々な使い方ができます。

長い直線では刃の数が多い目打ち、カーブなど細かい部分は2刃の目打ちなど
シーンによって使い分けます。

革の仕事道具 目打ち

手縫の表情は、「どの目打ちを使うか」と、「糸の太さ・種類」によってほぼ決まりますので
とても大事な道具の一つですね。

デバイダー(ネジ稔)

革の仕事道具デバイダー

こちらは目打ちを打つ時のガイドラインを引くための道具。
「それだけのために・・・?」と思われるかもしれませんが、これがとっても大事な道具。

細かいカーブや革の厚み、柔らかさなどに応じて使用するものを変えますが
目打ちを打つ時に歪みがあれば、当然それは縫い目の歪みにも繋がりますので慎重かつ、迅速に。
特に曲線などカーブが掛かった縫製をする際、正確に刃の部分を当ててマーキングする必要があります。

ちなみにネジで位置を調整することができるのでミシンを使用する時も
縫い目のガイドで引くことがあるので、地味な道具ではありますが使用頻度はかなり高めです。

丸錐・菱錐・オウル

革の仕事道具 オウル

錐(オウル)と一口に行っても色々な刃の形状で仕立てて
作るモノによって使い分けます。
刃の幅、刃先の形状、菱・丸・平と、そもそもの仕立ての違いなどなど。

菱刃のものは基本的に手縫専用。
目打ちでマーキングした際、しっかりと貫通させる穴を作る時に使用します。

丸錐は革をけがいて線を引いたり、菱穴のような鋭い穴を開けたくない時など。

平刃は真横に穴を開けたい時や、ヨーロッパ目打ちのような鋭い表情を作りたい時に。
使用するシーンはそこまで多くないのですが形状的にうまく使えば部分的な漉きにも使用できます。

抜き型(刃型)

革の仕事道具 抜き型

構造的に手裁ちが大変なものや、比較的簡易な構造のものは
製作時間効率アップのため抜き型(刃型)を使用します。
テコの原理を使ったプレス機を使用して革をバチコーン!と型に沿って抜いていきます。

革の断面にも圧が掛かるので仕上げは一手間入りますが
製作スピードは格段に上がります。
抜き型やさんに感謝・・・!

革漉き機

革の仕事道具 漉き機

仰々しい無骨な鉄の塊・・・
ただ革を薄くするためだけにこの重量!力強いモーターの駆動音!
刃研ぎで飛び散る火花!
漢のロマンを感じずにはいられない・・・ッ!

という個人的な趣味はさておき
革仕事には欠かせない漉き機。
手で漉くことも物理的には可能ですが
それだけで1時間とか掛かってしまうので機械でバシっと厚みを調整します。

革の仕事道具 漉き機

良い手仕事のために

道具を使う時、いつも「指先のように使えたらなぁ」と思いながら仕事をするのですが
使うごとに練度も高くなり、道具のクセや形状の調整など、日々研鑽は尽きることはありません。

縫い目だけに注目されがちな革仕事ですが
革の裁断、漉き、目打ち、コバ処理などなど
実際は「いかに道具をうまく仕立て、使うか」が重要だと思います。

日々の手入れ、研ぎなども含め
革とも、道具とも対話しながら日々精進していきたいですね。

さてさて、本日月末。
1年の半分が過ぎ去ろうとしているのですが、時間の速さにおっかなびっくりしつつ・・・
残り半分の2025年、どうぞよろしくお願い申し上げます!

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